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メンタルフレンド (M君へ)

M君へ 

 

 M君、この間(あいだ)の野外活動(やがいかつどう)のとき、僕と手をつないで一緒(いっしょ)に歩いてくれて、ありがとう。M君の行為(こうい)がとてもうれしく、M君への感謝(かんしゃ)の気持ちを手紙に書きたいと思いました。 

 

 M君が僕に手を差(さ)し伸(の)べたとき、僕はメチャクチャうれしかったよ。M君の優(やさ)しさに僕の心がポカポカと温(あたた)かくなったんだ。手をつないで一緒(いっしょ)に歩いているとき、M君の手から僕の手へとM君の優(やさ)しさが伝わってきました。歩いていて、とても心地好(ここちよ)かったです。M君はどうでしたか? 

 

 ちょっと話は変(か)わるけど、僕は脳性麻痺(のうせいまひ)という障害(しょうがい)を持って、生(う)まれてきました。いきなりだけど、M君に「障害(しょうがい)を持つって、どんな感じだと思う?」と聞いてみたいなぁ。人に聞いておいて失礼(しつれい)なんだけど、逆(ぎゃく)にM君から僕に「障害(しょうがい)を持つって、どんな感じ?」と聞かれたら、きっと返事(へんじ)できないと思うね。なんでって、自分でもよく分からないからさ。うわぁ〜しんどいなぁと思うときもあれば、障害を持っていて、よかったなぁと思うときもあるからです。例(たと)えば、ものすごい階段(かいだん)があったらメチャクチャしんどいなぁと思います。ただ、そのとき、メチャクチャきれいな人が「どうぞ」と言って、手を差(さ)し伸(の)べてくれ、一緒(いっしょ)に階段(かいだん)を昇(のぼ)ったら、障害を持っていて、これほどよかったなぁと思うときはありません。 

 

 こんなふうに考えると、自分の障害が自分でもよく分からないし、分からなくてもいいと思います。でも、M君と手をつないで紅葉川渓谷(もみじかわけいこく)を歩いたことを思い出すと、とてもかけがえのないものを得(え)たような気がします。このときも障害を持っていて、よかったなぁと思ったよ。笑。僕は多くの人たちの優(やさ)しさしさに支えられて、元気付(づ)けられ、励(はげ)まされ、生きているんだなぁと思います。そう思うと、なんだかとても幸(しあわ)せな気持ちになります。 

 

 僕はM君から、かけがえのないものをもらったような気がします。M君、ありがとう。とてもうれしかったですよ。歩いているとき、M君の優(やさ)しさに僕は励(はげ)まされたんだよ。ありがとう。僕の心の中にメチャクチャひびいてきたよ。心にひびく体験(たいけん)、ありがとう。僕はこの思い出をこれからずっと、僕の心の中で温(あたため)めて、大切(たいせつ)にしていきたいです。 

 

 これからもよろしく頼(たの)むね。M君。 

 

1998.10.27.山大F.S 三戸(さんのへ) 学
 

 

(あだ名はガクちゃん)
 

 

M君からの返事 

 

 『三戸君へ 

 この前手紙ありがとうございました。読んで三戸さんはたいへんだなぁ〜と思いました。でもいっしょうけんめい生きていることはすごいと思いました。あの日、手をつないで歩いたときは、正直つかれたけど、やってみて、何か気持ちがスーッとしたようなそんな感じでした。これからもがんばってください。ぼくもがんばります!ぼくは今、学習センターに毎日きています。天才Mより』



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