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フレンドシップに参加して

平成10年度山形大学教育学部フレンドシップ事業 シンポジウム 

 

教員養成の新しい試み 

 

〜カウンセリング・マインドをもった教員の養成を目指して〜

 

 

と き  平成10年12月12日(土) 

     午後1時30分〜午後4時 

ところ  山形大学教育学部1号館大会議室 

 

話題提供者 

 

大石 健四郎 

 

(山形市総合学習センター教育相談員) 

 

 ―子ども及び学生と関わる立場から― 

 

太田 優 

 

(干布後藤医院臨床心理士) 

 

 ―スクールカウンセラーの立場から― 

 

渡辺 誠一 

 

(山形大学教育学部) 

 

 ―教員養成学部としての立場から― 

 

司会 

 

出口 毅 

 

 (山形大学教育学部)   

 

対象 

 

教育学部及び大学院教育学研究科学生 

 

体験発表 

 

斎藤 宣子  三戸 学 

 

企画の意図 

 

 今日、児童生徒を取り巻く家庭、学校、地域、社会環境が大きく変化し、その環境変化の中で子どもの問題行動や心理的な不適応について社会的な関心がよせられている。これは、子どものみの問題ではなく、家庭、学校、地域、そして社会全体の問題であることは言うまでもない。少子高齢化社会にあって教員の採用は減少し、教員の不適応症状や資質向上といった子どもに関わる指導者側の問題も指摘されている。 

 

 本シンポジウムでは、今年度から始まった教育学部フレンドシップ事業を紹介しながら、教員養成段階における教育的課題を話題提供者の先生方から指摘していただき、今後、どのような教員を養成していったらよいのかを考えてみることにした。そこで、学部教育に関わっていただいている各方面の先生方に登壇を願い、教職を志望する学生及び教育学部に向けてご提言いただくことにした。 

 

各先生にお話し願いたい内容 

 

 まず、渡邊誠一先生からは、学部教育について紹介していただく。特にフレンドシップ事業の中核をなす授業「教育臨床体験」のねらい、他の教職科目や教育実習との関連、教員養成学部が、現在、どのような教師像をもって学部教育を行っているかを報告していただき、今後、どのような教育を行っていくべきかをご提言いただく。 

 

 次に、市総合学習センターで子どもと関わり、本学部の「教育臨床体験」受講学生の指導にあたっていただいている大石健四郎先生、スクールカウンセラーとして学校で、また臨床心理士として医療機関で子どもと関わり、本学部開講「学校教育特論B(不登校)」をご担当いただいている太田優先生には、それぞれの立場から児童生徒の姿について触れていただき、その上で「カウンセリング・マインド」とは何か、教育学部生や学部教育に求めることは何かについて忌憚なく問題提起をしていただく。 

 

シンポジウムの進め方 

 

 シンポジストとして依頼した3人の先生方には、それぞれ30分程度で話題提供をしていただき、休憩後、「教育臨床体験」受講学生の体験談発表と参加学生からの質問・意見をもとに、その場に参加しているすべての方々とともに、広くかつ深い討論を行いたいと考えている。 

 

 

フレンドシップに参加して
 

 

中学校教員養成課程 4年 三戸 学
 

 

 僕がフレンドシップに参加しようと思った動機は不登校の子どもたちって、どんな子どもたちだろうという純粋な気持ちからでした。恥ずかしい話ですが、これまでに僕はいわゆる不登校と呼ばれている子どもたちと接した経験はありませんでした。『接した経験がない』ということは、とても恐ろしいことだと思います。なぜなら、自分の心の中に独断と偏見が生じてしまうからです。ここ最近、様々なところで教育について、議論されています。そのなかの1つが不登校の問題です。僕は大学の講義やマスメディアを通して、知識として、不登校の子どもたちを理解しているつもりでした。 

 

 しかし、フレンドシップに参加することが決まり、いざ子どもたちと向き合うと、どのように関わったら良いか分からず、自信が持てなく、困惑してしまいました。今、僕が実際に初めて子どもたちと関わった調理実習のことを思い出します。そのときは3つの班に別れ、プリン、クレープ、クッキーを作り、できあがったら、みんなで会食をしました。僕と同じくフレンドシップに参加している男子学生、2人の女の子と一緒にクレープを作りました。このときの気持ちを僕は日誌に次のように書いています。 

 

 「今日はお互い初対面ということで、僕の方が子どもたちに気兼ねをしていたと思う。―2人の女の子から、いろいろと手伝ってもらった。―このような子どもたちからの関わりによって、僕も子どもたちに対して、素直になれた」 

 

 フレンドシップの活動は体験活動です。僕の言葉でいうなら、体を使った活動です。僕にとって、体を使った活動は多くの人たちに手伝ってもらわなければなりません。だから、それだけ、多くの人たちの心に触れることができます。これは何も僕だけに言えることではなく、子どもたちにとっても同じことが言えると思います。僕は調理実習を通して、子どもたちに自分のありのままの姿で接していきたい、ぶつかっていきたいと思いました。なぜなら、そういう僕の姿勢が少しでも子どもたちの心に届けばなぁと思ったからです。 

 

 10月下旬の野外体験学習のことです。仙山線で面白山まで行き、紅葉川渓谷を散策しました。紅葉川渓谷に行ったことがある人は分かると思いますが、僕にとってはかなりしんどいところです。僕は友達の腕を掴んで歩いていたのですが、途中でモジモジとM君が手を差し出してくれました。後で話を聞くと、指導員の先生が彼にきっかけを与えてくれたそうです。僕はとても嬉しくなり、彼への感謝の気持ちとこの経験を大切にしていきたい気持ちから、後で彼に手紙を書きました。僕の手紙に対する彼の返事です。 

 

『三戸君へ 

 

この前手紙ありがとうございました。読んで三戸さんはたいへんだなぁ〜と思いました。でもいっしょうけんめい生きていることはすごいと思いました。あの日、手をつないで歩いたときは、正直つかれたけど、やってみて、何か気持ちがスーッとしたようなそんな感じでした。これからもがんばってください。ぼくもがんばります!ぼくは今、学習センターに毎日きています。天才Mより』 

 

 名前の横にムンクの絵が書いていました。この手紙を読んで、少し彼の心に近づいたような気がします。 

 

 最後に、2、3年生の皆さんに一言。不登校の子どもたちと聞いたとき、皆さんはどのようなイメージを持ちますか。どんなイメージでもかまいません。それを心の中で大切にしてほしいなぁと思います。その答えはフレンドシップのいろいろな活動を通して、子どもたちが教えてくれるはずです。



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